2020/05/22 16:05
前回のブログで、父の日お薦めの「靴べら」をご紹介しましたが、今日はその制作について更に深掘りしてみようと思います。
「蹴り彫り」って何?
彫金には様々な技法があります。その技法によって見え方が全く違ってくるし、デザインや作品の用途に合わせて技法を選択したりもします。
この靴べらは蹴り彫りという技法で模様を入れています。靴を履く道具として使う靴べらは、先ず使いやすさが重要だと私は思っています。持った時の手の感触や、かかと・靴へのフィット感… どれも大切な要素です。
そこを邪魔する事なくデザイン的にも華やかさやオリジナル感を出せる技法として蹴り彫りを選択しました。
鏨一本で彫る模様
蹴り彫りは、鏨(たがね)と言う鉄で作った棒状の道具を金鎚で叩きながら模様を彫ってきます。
彫ると言っても、木工でいう彫刻刀のように削り彫るのではなく、打ち込みながら模様を入れていくので彫りカスは出ません。
また、洋彫りのようにコンプレッサーを使った機械は必要なく、至ってシンプルで金鎚と鏨、人の手だけで模様を入れます。
地味な作業ですが、華やかな完成品をイメージをしながら制作しています(笑)
コンコン、カンカンと金鎚の軽快な音と共に描き出される蹴り彫り模様は、作品一つ一つに作り手の想いが籠っています。
もしあなたが彫金の作品をどこかで手にする事があったなら、鏨で彫ってるのかなぁと、ちょっとでも思い出して頂けたら嬉しいです。
彫金工房 Hard な Heart